Smart HomeをDIYする

Apple HomeKit は対応製品が少なくて高価なのでHomebridgeでがんばります

LED蛍光灯に交換してHomeKit対応照明に改造する

古い蛍光灯管を蛍光管型LEDに交換しました。交換に加えて、不要になった安定器と点灯管ソケットも取り外しました。重い安定器が無くなって軽量になり、消費電力が半減したはずです。空っぽになった照明器具内部にはスマートスイッチ器具を内蔵しました。

LEDへの移行

古い天井蛍光灯器具が一つ点灯しなくなりました。別の箇所の蛍光灯も発熱がひどいです。蛍光灯照明機器はすでに製造終了していて、交換用蛍光管もいつまで供給されるかわかりません。LEDに移行すべき時期かと思いました。

ただ、どちらの照明器具も引掛シーリングではなく、天井直付けで配線直結です。このタイプの照明器具は、交換に電気工事士の資格が必要です。なので、直付けタイプの照明器具はAmazonにも出回ってなくて、あってもコスパが悪いです。

また天井の壁紙や仕上げが、照明器具の裏まで施工されていないことが多いです。その場合、同じかもしくは大きめのサイズの照明器具に交換しないと、未仕上げの天井材が見えてしまいます。今の照明器具はLEDにより小型化しているので、サイズの合う器具や、より大きなサイズの器具はまず見つかりません。

ということで諦めていたのですが、蛍光管と同じ形状のLEDが多数販売されているのに気づきました。LED電球と同じく、LED蛍光灯は蛍光灯の形をした本体の中に、交流100Vを整流・変圧してLEDを点灯する回路が組み込まれてます。それで、古い器具はそのまま流用して、蛍光灯をLED蛍光灯に交換することにしました。

蛍光灯の仕組み

白熱電球と違って、蛍光灯の点灯には放電を開始するための手順が必要です。なのでLED電球のように、単純にLED蛍光灯に置き換えるわけにはいきません。不適切にLED蛍光灯に交換して、火災や事故を引き起こす事例もあるようです。なので、LED蛍光灯は使わないで、器具ごとLED照明器具に取り替えることを推奨するwebページが多いです。その辺りをしっかり理解するために、まずは蛍光灯の仕組みを調べました。

上の図は点灯管(グローランプ)方式の蛍光灯器具です。このほかにラピッドスタート式とかインバータ式などがありますが、古い器具では点灯管方式が一般的です。この器具の点灯手順は以下になります。

  1. 点灯管の中にはバイメタルで作った接点があって、常温では開いてます。
  2. 点灯管の内部には、低圧のガスが封じ込まれているので、スイッチが入れられて電圧がかかると接点の間でグロー放電が始まります。
  3. すると放電の熱でバイメタルの接点が曲がり、接点が導通して大量の電流が流れます。
  4. 一方で、放電が止まるので温度が下がり、しばらくするとバイメタルの接点が開き、放電が再開します。これを繰り返すことで、点灯管は、数秒ごとにon/offが繰り返されるスイッチとして機能します。
  5. 蛍光管の両端にはヒーターが組み込まれていて、点灯管が導通すると加熱されます。
  6. するとそこから熱電子が放出されて、放電しやすい環境を管内に作ります。
  7. 放電の熱が冷めて点灯管が開くと、電流が急停止し、その過渡現象で安定器のコイル部分に高電圧が発生し、これも放電しやすい状況を作ります。
  8. その結果、蛍光管の放電が開始します。
  9. 蛍光灯が放電開始すると、そちらに電流が流れやすくなるので、点灯管は放電しなくなります。
  10. 放電状態は不安定で電流が揺らぐのですが、安定器のコイルが変動を抑えて、電流・明るさを一定に保ちます。

このように、蛍光灯は工夫の塊でした。この蛍光灯を、誰でも簡単にLEDに置き換えるために、以下の2つの方法が考えられました。

  1. 点灯管を取り外す
  2. 点灯管を短絡する

この2つの方法には互換性がないので、間違えると危険です。またどちらの方法も、点灯管方式以外の、ラピッドスタート式やインバータ式の蛍光灯には適用できません。そのことが正しく理解されず、不適切に使用される結果、火災などの問題を引き起こしているようです。以下でこの互換性の無い2つの改造方式を説明します。

両側給電方式

上の蛍光灯回路を見てLEDを点灯する方式を考えます。一つは、点灯管を取り外す方法です。これなら誰にでもできます。点灯管を取り外すと、点灯管がon/offすることは無いので、蛍光灯の両端に定常的な100V ACが現れます。安定器が介在しますが、理想的なコイル部品とみなすことができれば、定常的な電圧には影響しません。なので、両端から電源を得るタイプの蛍光灯型LEDを用意すれば点灯できます。

この方式の問題点は、誰かが知らずに点灯管を戻してしまうと、短絡することです。火災や感電事故を引き起こす可能性もあります。

片側給電方式

次は、逆に、点灯管の部分を通電させる方式です。このタイプの蛍光灯型LED製品には、点灯管型ヒューズが付属してます。これを点灯管の代わりに取り付けます。こうすると、以下のように片側の2ピンに100V ACが印加されるので、ここからLEDに給電します。

 

この方式のメリットは、点灯管を元に戻しても、LEDが点滅するかもしれない程度で、特に問題が発生しないことです。ただ、もしも間違えて両側給電型LEDを取り付けてしまうと、短絡してしまいます。点灯管部分をヒューズに置き換えてあるので、大事には至らないかもしれませんが、避けたいところです。

安定器を取り外す

両側給電も片側給電も、点灯管に細工をするだけでは、どちらも安定器を介してLEDに給電することになります。安定器が理想的なコイルならばほとんど影響はありませんが、実際には細い銅線が何回も巻かれたトランスのような部品です。なので電気抵抗があり発熱します。20Wの蛍光灯器具で7Wくらい消費するらしいです。20W蛍光灯をLEDで置き換えると10W位に節電できるのですが、それと比較すると安定器で消費される7Wの電力(LEDに交換することで電流が半分になるとしても3.5W)は無駄に感じます。

実際に古い蛍光灯の安定器は、顔を近づけると熱気を感じるくらい、手で触れないくらい発熱してました。劣化の結果、正常な安定器よりも多めに電力消費して、発熱がひどくなっていたのかもしれません。

なので、安定器をバイパスするように配線し直す、もしくは安定器を取り外してしまうと良いそうです。安定器を取り外すなら、ついでに点灯管のための配線やソケット部品も取り外してしまったら良いと思います。点灯管についているコンデンサも無駄ですし、点灯管を間違えて取り付けられる心配もなくなります。重量のある安定器を取り外せば、照明器具が軽くなるので、取り扱いが楽になり、天井への負担も軽減するのではと思います。メリットしかありません。

なので、以下のように配線して、蛍光灯型LEDを取り付けることにしました。今回使用したのは、以下の両側給電型LEDです。

片側給電型LED用に配線すると、両側給電のLEDを取り付けた時に短絡する危険があります。でも、両側給電を前提にして配線すれば、間違えて片側給電LEDを取り付けられても点灯しないだけで問題が発生しません。なので両端給電方式を選びました。

実際に作業した結果が以下です。改造前・改造後の写真です。直管蛍光灯が2灯付いている照明だったので、安定器も点灯管ソケットも2個ありました。改造後の写真では、両端給電型のLEDを取り付けています。

↑改造前 ↓改造後

点灯管に接続されていた配線は、長いまま残してあります。これも外してしまえばもっとすっきりするのですが、ひょっとして将来、片側給電のLEDに交換したいと思うかもしれないので、その時のために残しました。

丸型蛍光灯のLED化

ここまでは、直管型蛍光灯のお話でした。丸型蛍光灯も以下のような製品を使用すれば、同じようにLED化できます。丸型蛍光灯用LEDの場合は、両端給電方式のみのようで、片側給電の製品は見当たりませんでした。

今回は、引掛シーリングタイプの丸型蛍光灯をLED化しました。引掛シーリングならば、格安のLED照明器具が多数販売されているので、それに交換した方が手間要らずで、むしろ安価です。でも昔の器具はコストを掛けて丁寧に作られているので、残したいと思う製品もあります。例えば、格安LED照明のランプシェードは薄くてペラペラですが、古い製品には厚さ1.5mmくらいの肉厚なアクリル素材が使用されていたりします。また、窓貝などのちょっと高級な材料を使った製品もあります。蛍光灯型LEDを使えば、趣のあるシェードを簡単に引き継げます。

そんな古風な照明器具の蛍光灯ユニットを取り外したのが下の写真です。蛍光管は黒ずんでて、全体に埃をかぶってます。これを分解して、洗える部分は洗剤で洗いました。

中には、安定器2個、点灯管ソケット2個、豆球ソケット、紐スイッチがぎっしり詰まってました。

これを全部撤去しました。するとガラガラに空いてしまいます。

ついでにスマート化する

もったいないくらいに空間ができてしまうので、ブログの趣旨に合わせてHomeKit対応のスマート照明に改造することにします。空いた空間に、HomeKit対応のWiFiスイッチユニットを組み込みました。これでHomeKitからon/offできます。

HomeKit対応のWiFiスイッチユニットは、以前の記事で紹介したものです。

diysmarthome.hatenablog.com

ちなみに、上の写真で蛍光灯型LEDに接続しているコネクタも、LEDに付属していた新品コネクタです。なので、引掛シーリングケーブルより器具側の電気系統は、全部新品になりました。軽量になり、消費電力も半分以下に削減できたはずです。

HomeKitからコントロールする

先の記事で紹介したように、このWiFiスイッチはHomeKit対応WiFiアクセサリとして機能します。なのでホーム.appからペアリングすると、iPhoneなどからon/offできるようになりました。この照明器具は、壁スイッチの無い古い部屋にあり、紐スイッチでon/offされていました。スマート化された照明器具が、壁スイッチでoffにされてしまうというよくある問題は発生しません。

さらに手動でon/offしたい場合に備えて、壁にZigbeeスイッチを取り付けてリモコンにしました。このスイッチも、先の記事で紹介したものです。

diysmarthome.hatenablog.com

まとめ

古い照明器具の蛍光灯を、蛍光灯型LEDに交換しました。その際に不要になった安定器や点灯管を除去すると、さらに省エネになり軽量化されます。余ったスペースには、HomeKit対応のWiFiスイッチを内蔵してスマート照明に作り替えました。